健常犬におけるpimo溶液単回投与の薬物動態と心機能への影響を評価した評価者盲検RCT
Yata, M., McLachlan, A. J., Foster, D. J. R., Page, S. W. & Beijerink, N. J. Pharmacokinetics and cardiovascular effects following a single oral administration of a nonaqueous pimobendan solution in healthy dogs. J. Vet. Pharmacol. Ther. 39, 45–53 (2016).
[intro]
pimo錠剤はCHFに有効だが、内服コンプライアンスが問題となることがあり、液剤含め様々な剤形のpimoがコンプライアンス達成に有効と考えられる
液剤型ピモベンダンのPK/PDは不明であるため、本研究では液剤pimoを経⼝投与したときの薬物動態・⼼⾎管系 への影響を評価
[method]
評価者盲検化RCTで、健常実験犬(ビーグル)8頭使用。
control群: 10ml⽔とpimo群: 0.27mg/kg pimo溶液にわけ、10h絶⾷したのち、薬剤内服して経時的に24hまでの心エコー検査と血中濃度を測定。
[Results]
薬物動態としては、pimoもその活性代謝産物(ODMO)も内服後1時間強でTmaxをと り、半減期は各0.9h, 1.6h。4-8h程度で⾎中から消失。
心エコー検査での心機能への影響としては、pimo内服後1-4h程度で陽性変⼒作⽤が増⼤し、5h程度持続。FS、LVIDDs、Max Ao velocityなど各種パラメータが整合性を持って動いていることが示されている。
[感想]
久々に基礎研究に近い論文を読んだ。
RWDと比べて、やはり背景の統制がしっかりされているので、バイアスや交絡が最小限に抑えられていそうなところはさすが。
さらに、この論文は方法の記述が非常に丁寧で抜かりがなく、ツッコミどころが全然なかった。
一方で、心エコーパラメータはかなり誤差が大きく変動しそうだが、(現にSDがめちゃ幅広い)有意差が出ているのは不思議。一般化線形混合モデルで曲線を書いているっぽいが、生データを示して動きを見てみたかった(8本なのでそこまでビジーな図にはならないと思うし。)
各種の結果も一貫性が有り、タイムスケールも一致しているのがきれい。サンプルサイズが小さく、エコーでの所見だがら誤差や測定変動がまあまあ大きく出ると思っていたので、綺麗すぎない?という穿った見方をしてしまうのは、悪い癖なのだろうか。